印刷業界は長い間、工場で働く人も営業の現場も男性中心でしたので、そこに印刷機械を納入してきたKOMORI社員の男性比率が高いのは必然だったのかもしれません。ただ、他の業界から中途入社した私には、社員の皆さんがとても人当たりがよく、穏やかな社風に、何だか癒されるような…。男性社員が多い分、逆に女性に対して気遣いのあるやさしい会社だなという印象を持ちました。この数年は女性活躍推進を掲げて最長2年取得できる育児休暇や、時短勤務など制度面が随分整いました。復職後のメンタルケアや特定部署に制度利用者が重複した際のワークシェアリングなど、まだ課題はありますが、働く環境はより良くなっていくでしょう。みなさんは就活で志望企業を選ぶ時、女性の働く環境をどの程度考慮に入れましたか。
Talk 05
女性社員座談会
いまこそ、女性の視点で業務を変えていく
すべての女性社員が、それぞれの働く場面で、個性と能力を十分に発揮できる企業へ---。KOMORIは「女性活躍推進法」の一環として、女性社員の仕事と育児の両立をサポートする制度面と職場環境の整備に力を入れている。また女性社員特有の視点やアイディアを業務改善、商品企画、営業展開など多方面に取り入れることで、事業構造の変革、営業の業態変革の推進力に繋げる。キャリアへの高い意識を持ち、日々研鑽する総合職の女性社員3名に、KOMORIで働く女性社員の役割の変化と意義、そして将来のビジョンを語ってもらった。
- DPS営業推進本部DPS業務推進係 係長
- 2007年入社
- 教養学部教養学科卒業
- PESP事業推進部業務推進課
- 2008年入社
- 文学部行動科学科卒業
- 国内営業本部営業業務課
- 2015年入社
- 経済学部商学科卒業
安心して働ける環境で、キャリアを磨くチャンスがある
私が重視したことの一つは、長く働ける会社であるかどうか、ということでした。今後どのようなライフステージを進むにしても、自分の事は自分でできる経済力が今の時代必要だと思っていますし、男性も女性も仕事をやり、家事もやるべきだと思っています。私の両親が共働きということも関係していると思いますが、母親は家事もしながら当たり前のように働いていました。一方で女性は出産、育児、介護などライフステージの変わり目において、影響を受けやすい人も多いと思います。いくら男女平等とは言っても、女性に負担がかかりやすいのもまた事実なので仕事と両立するには、そのような面に理解のある会社だといいなと考えていました。就職四季報女子版を見れば各企業の制度面だけでなく、女性社員の勤続年数や育休取得率、育休後の復職率など色々なデータはわかります。KOMORIの女性社員は多くありませんが、制度はきちんと整備されていて、活用する人も多いので長く働ける環境だと思いました。
私の周りでも出産や育児で会社を辞める人は少ないですし、制度利用がしやすく安心して働ける会社だと思います。この何年かで会社が大きく変わったことの一つが、女性社員の役割ではないでしょうか。係長が以前の会社の印象を「女性にやさしい」と仰いましたが、その頃のやさしさには「女性は大変な仕事はしなくても大丈夫」という意味合いもどこかに含んでいたと思います。確かに居心地のいい環境でしたが、それゆえに私の場合は、気がつかないうちに甘えてしまい、意識が低くなっていたかなと今では思います。私は10年ほど前の新卒入社ですが、家庭の事情で転勤が難しかったので一般職で入社しました。当時はまだ男性が総合職で、女性は一般職という不文律があり、女性社員が活躍できる場は限定されていました。それがここ数年で女性にも大事な仕事を任されるようになり、仕事内容にもよりますが、男女の仕事の境界線はほとんどなくなってきたかなと思います。むしろ、今までやってこなかった業務を任され、求められる仕事の質の変化に対応するのが大変な状況だと感じています。
同感ですね。わかりやすい例でいうと「お客様向けのセミナーをやります」となった時に、以前の女性社員は受付やお茶出しが主な仕事でした。それが今は、司会を任されたり、機械の仕様説明をしたり、発表のためのプレゼン資料を作ったりと、色々な業務を担うようになりました。女性が比較的不得手とされる折衝などもありますし、担当領域が広がることで付帯する仕事も増えます。セミナーの準備段階から市場調査など企画に携わるのも今や普通です。今年入ってきた女性社員は、最初から企画の仕事に関わっていますし、経験を積めば、主戦力になっていくでしょう。まだ部署によって多少差はあるかもしれませんが、女性社員の人数も徐々に増えていき、あるゆる部署で活躍の場が広がれば、会社全体が活性化していくと私は見ています。
私は今年度から職系を一般職から総合職に転換しました。今まで営業事務を中心にやってきましたが、最近は様々な業務改善にも携わるようになり、自身に要求されるタスクが変わってきたことで仕事の向き合い方そのものが「今までの当たり前」では通用しなくなってきたと感じたからです。年次的にもキャリアを見つめ直す時期でしたし、会社の変化の中で自分のこれからのあり方を考えた時に、私自身の意識も変え、仕事の幅をもっと広げていくチャンスだと思いました。数年前から女性でも総合職として入社するのが主流となり、今では若い女性総合職の方がそれぞれの部署で力を発揮しています。あと数年は過渡期になると思いますが、男女の仕事の線引きはなくなり、みんなで連携してKOMORIの業務改善や事業変革を推進していく形が整っていくと思っています。
私も総合職として様々な仕事を経験しながらキャリアを磨ける会社だと思っていますし、それがモチベーションにもなります。ただ、これは自分の反省点でもあるのですが、女性社員の役割という面でKOMORIは今が過渡期にあり、そこで少し戸惑いながら仕事をしていたところがありました。印刷機械の稼働状況を確認できる新しいサービスを始める際に、営業マニュアルの作成や管理帳票などの運用フローをまとめるプロジェクトに関わったのですが、当時の私はどう関わるのが女性総合職である自分に求められているか手探りの状態で、いま一つ踏み込めませんでした。今思えば工場に赴いて実物を確認したり、営業の方の現場を見にいくなど、動けることは色々あってそれによってもっとプロジェクトに貢献できる立ち回り方があったはずなのに…。間接部門という枠に変にとらわれて自分の仕事に壁を作ってしまいました。新しいことに取り組むときは、新人もベテランもスタートは変わらないはずで、自分の強みを作るチャンスを逃したと後悔しています。係長はPESP事業を一から立ち上げられたメンバーのお一人だと伺っています。前例のないことに挑戦するには強い精神力が必要だと思いますし、そういった姿勢を見習って、今度は必ず前向きに取り組みたいです。
限られた時間で成果を出すノウハウは、KOMORIの伸び代になる
KOMORIは、意欲のある若い人にはチャンスの多い会社ですから、やりたいと思ったら勇気を持って手を挙げる姿勢を持ちたいですね。私が当時立ち上げに参画したPESP事業は、印刷の前工程と後工程を含めて、自社製品以外の商品も取り扱う商社的な事業ですので調達から売り先まで従来のKOMORIの事業とはまったく異なりました。カタログ棚作り、販売店対応、ショールームの開設・運用、見積書マスターの作成と、まさにゼロから形づくっていく難しさと醍醐味を経験させてもらいました。それまでの与えられた役割をこなす仕事から、自走し他部署と横断的な連携をとりながら、ゴールを目指すという自分のキャリアにおいて意義深い仕事でした。
そういえば、先輩には入社したときにOJTで仕事を教えてもらいました。
そうですね。でもその経験は私にとっても一つのきっかけになっているんですよ。私は異動があまりなかったこともあり「自己完結的」な仕事も結構ありました。よく言えばエキスパート化。でも自分の範疇だけで終わる自己満足の仕事になってしまう部分も多々あり…。本来どんな仕事でも必ず受け取り先がいるはずです。何のためにその仕事をそんなに時間をかけてやっているのか、長く居すぎて判断できなくなっていました。そんな状態を打開するきっかけになったのが、8年目に担当したOJTでした。誰かに伝えるという経験が少なかった私が、仕事の内容を説明する機会を得て「あっ、この仕事って別の方法が断然いい」「もっと効率化できるのでは?」「この仕事ってそもそも必要ないのでは?」…と質問に答えようとした時、本質が分かっていなかった自分に気づき、改めて仕事を整理できました。教えるってすごいんだなと。仕事とは何かを根本から見つめ直すきっかけになった大切な経験です。今は、PESP事業の業務改善作業やシステムの使い勝手をよくする仕事にも携わるようになってきたので、現場担当、他部門、外部の方の意見に耳を傾け、広い視野で考えるように心がけています。現在、私が業務に携わるPESP事業はKOMORIの将来にとって重要な成長の芽です。それをさらに発展させるような女性社員がもっと現れて、将来マネジメントを担う女性が増えてくればいいなと思います。
私にとって先輩は1年目のOJT担当で、メンターでもある特別な存在です。仕事が丁寧でご指導がわかりやすいのはもちろんですが、常に話しかけやすい雰囲気で私だけでなく様々な部署のあらゆる年次の方から頼りにされています。私自身もそうなりたいと思い、いつも勉強させていただいています。今、私は自分の強みをつくりたいと思っています。先輩から教わった業務を引き継ぐことに加えて、業務改善・変更で生まれる新たな仕事に対しても自分から知る姿勢をもって吸収・発信し、いざというときに私を頼ってもらえるような得意分野を持ちたいです。
強みを持つのは、もちろん良いことですが、一方でこれから組織の中で女性社員が活躍していくためには、みんなが知っている業務をしっかり対応できる力も非常に意味あることなんです。時間制約がある働き方をしている人が増えれば、現状の仕事の質を保つ事は困難です。そこをうまくリカバリーするには、ムラのない業務の共有と連携が大切です。また例えば16時までに帰らなければならない時間制約のある人は、集中して効率的な仕事を遂行できる能力が求められ実際に皆さん実践されています。限られた時間で成果を出すには、能率を最大限高める個人の努力と組織的な業務連携が必要で、私はそれが今後のKOMORIの伸び代になると考えています。
そうですね。私も自分の強みをつくりたいと思う反面、業務という側面では「私しかできない仕事」を作るよりも、他の人にもできるけれど私と一緒にやりたいと思ってもらえるような仕事を目指していきたいと思っています。それとは別に私は現在のKOMORIの商品やサービスに、何か私たち女性の着眼点や感覚を活かせるような気がしているんです。今までは男性主体で作られてきた印刷機械と周辺サービスの部分に、購買意欲が高く、良いものに敏感な女性の着想が入り込むことで、新しい商品になりそうなものが出てきたり、サービスの質を変える可能性があると思います。ですからどんな仕事でも固定観念にとらわれず、自分なりの目線で見ることが大切なのかなと。そう思っています。
KOMORIは今、色々な面で変革期にありますから既成概念に縛られない発想が大切ですよね。事業構造も営業の業態も、モノづくりのシステムまで革新して次の発展を目指す今だからこそ、女性社員の視点とアイデアを活かせるところはたくさんあるはずです。力を合わせて頑張りたいですね。私自身は仕事もプライベートもうまくいくバランスを見つけながら、より成長したいです。仕事を頑張ることで生活に潤いを与え、プライベートが充実でき、さらに熱意を持って仕事に取り組める好循環をつくれたらいいなと思っています。
※記事内容および社員の所属は取材当時のものです。