KOMORIの技術の進歩は、お客様の要求とともにあると言っていいと思います。お客様の課題、改善要求に対して、どのように対応していくか、開発現場はつねに知恵を絞り、試行錯誤しながら技術を磨いてきました。国内唯一の紙幣印刷機械を始め、オフセット印刷機械の分野では独自の技術基盤を確立して今のKOMORIがありますが、お客様の要望と向き合い、その期待以上のレベルを求めていく技術開発の姿勢は一貫して変わらないと思います。
Talk 01
KOMORIの技術は、何が違うのか?
さらなる技術の進化を追い求めて
KOMORIは、国内トップシェアにして、世界屈指の印刷機械メーカーの地位を揺るぎないものとしている。世界中のお客様に支持されている所以は、その卓越した技術力にある。“「顧客感動企業」の実現 ”という経営理念のもと、徹底したお客様志向を貫き、多様な要求に対して独自に培った技術基盤を背景に、高品質な製品を生み出すことで、きめ細かく応え続けてきた。印刷業界を取り巻く環境が変化する中で、KOMORIの技術は、いま新たな進化のステージへ向かう。開発部門と営業部門の最前線でさらなる技術進化を追求する4名の社員に、世界に誇る技術力の強みと、これからのビジョンを語ってもらった。
- 枚葉開発部開発1課 係長
- 2005年入社
- 理工学部機械工学科卒業
- 枚葉開発部開発3課 リーダー
- 2010年入社
- 工学部機械工学科卒業
- DPS営業推進本部
DPS営業推進部DPS国内販売推進課 - 2004年入社
- 工学部機械工学科卒業
- 輸出一部代理店販売課
- 2016年入社
- 理工学部電気電子生命学科卒業
KOMORIの技術進化は、お客様の要求とともにある
その通りですね。我々設計部門はお客様の要望に応えるためにどのように図面に反映していくか、いつも頭を悩ませています。新機種の開発時は、ベテランから若手まで全員一丸となって要求技術に対し、意見を出し合って方向性を決めていきますし、試作では、組立・技術の方と一緒に機能や組付性を確認し改良、完成に向けて繰り返しトライします。さらに製品を完成させ、出荷で見送った後でも、お客様先で稼働状況を把握します。作る前から作った後、その後もずっとお客様に寄り添って印刷機械を見続けていく。そういった地道な努力の積み重ねによって市場でのKOMORI製品への技術的信頼を得てきたのではないでしょうか。
国内営業の立場から言いますと、今でこそオフセット印刷機械の国内新台出荷が枚葉印刷機械60%、輪転印刷機械80%と圧倒的なシェアをもつ印刷機械リーディングカンパニーになりましたが、以前は決してそうではありませんでした。10~20年前は枚葉印刷機械、輪転印刷機械ともシェア率は30%程度の時期もありました。私もオフセット印刷機械の営業を担当していましたが、印刷会社様の間でもKOMORIはナンバー1ではなくて、2番手、3番手の会社というポジションでした。それを現在の評価まで引き上げてきた要因は設計・開発部門の方々が、徹底してお客様の要望と向き合い、期待を超える製品とサービスを届けてきた実績でしょう。「細かいところまでの技術要求にもっとも応えてくれる会社」という認識が今は浸透していると思います。KOMORIが販売する印刷機械は1億円以上のものもありますから、お客様にしてみれば経営の命運を賭けた大きな買い物になります。ご要望に深く耳を傾け、お客様の利益に繋がる最適な設備、仕組みをトータルに提案できるように心がけています
印刷会社様にとって印刷機械への設備投資は、経営の根幹をなす重要な問題ですからね。要求がどんどん高くなっていくのは当然のことです。私もKOMORIは、モノづくりの目線が、お客様視点だと思います。日々の営業活動では経営者の方々と話をしますが、実際、それぞれの印刷会社様によって、また経営者の考え方によって、印刷機械に求めるニーズが全然違ったりもします。印刷品質が高いことは絶対条件としてありますが、使い勝手などの性能については様々に異なる要求がありますね。海外の印刷機械メーカーは、総じて合理性を重視する傾向があって、そういった細かい個別要求にはドライな対応をすることが多いのですが、KOMORIはその点で話を聞いてくれる会社という評価があると感じています。
私自身も製品のモデルチェンジにあたって、お客様のニーズを伺いにヒアリアングに行くことも多いですが、確かに要求が細かくなっているのは感じますね。大きく括ってしまうと、機能アップ、スピードアップ、コンパクト化、コストダウンということになるのですが、実際その要求値が細かく違っていたり、作業効率などもお客様特有の要求があったりします。お客様視点が大切というのは、まさにその通りで、我々開発は少しでもお客様が楽になるような機械づくりを目指していかなければならないと思っています。お客様にとってオンリーワンの存在でありたいですね。
私は今、海外営業担当として韓国、ベトナム、フィリピンを担当していますが、アジア圏の印刷機械市場においては、KOMORIの製品性能、開発技術に対する評価の高さは肌で感じますね。アウトサイドユーザー(*)であってもそれは同じです。コスト面などがネックとなり、導入には至らないけれども、印刷品質の高さを認めて下さっているのはわかります。また技術面ではないですが、海外でもKOMORIのサービスが24時間体制であることも信頼度、安心度の評価に繋がっているようです。残念ながらASEAN諸国などは、印刷機械を稼働させる環境が劣悪な場合が多く、KOMORI製品の性能の高さを感じてもらう上で、そこが難しいところではありますが。
印刷機械の市場ニーズの変化に応えていくために
KOMORIの技術力を目に見える形で体現する場所が、つくばプラントだと思います。お客様をつくばプラントにご案内すると、必ず感銘を受けて帰られます。お客様は、KOMORIの生産体制の仕組みやミクロン単位の精度管理、そして細部に渡る改善活動を目の当たりにされて驚かれますね。KOMORI製品がいかにお客様の立場に立って開発を行っているか、品質を徹底追求しているのかが、工場の様子から感じていただけるからだと思います。
印刷機械は大きいですからね。つくばプラントで組み上げられているオフセット印刷機械も相当大きい。あれほどの大きさのある機械ですが、中身の機構はミクロン単位のものすごく精緻な技術で制御されています。オフセット印刷機械は、長年の開発の歩みの中で、改善に改善を重ねながら今の技術基盤に至っているので、我々技術者から見ても非常に奥が深いです。モデルチェンジで新規開発に関わっても、心臓部はおいそれと変更できない。それくらいKOMORIが作り上げてきた印刷機械の技術は卓越の領域にあると思っています。
印刷機械の部品一点は物によっては要求寸法がμm(1,000分の1mm)単位ですからね。それらの部品の要求精度を満たしたものを組み上げ、心臓部を制御し、あの大きな印刷機械にしていく技術基盤はやはり相当なものだと思います。入社した若い頃は、自分が図面を描いたものが形になって組み込まれていくところを見て感動したのを覚えています。それと、これだけのものを作るための厳格な品質管理基準も徹底していますよね。
現場では工程ごとに品質管理表でのチェックがあり、心臓部のシリンダーなどはもちろん全品チェックです。ほんのわずかでも基準に外れたものは絶対に出せません。全部門で共有されているので、例えば私が描いた部品図面にちょっとでも何か設計基準の問題があると、すぐに問い合わせが来ます。部門間で連携し、その問題をどうやってカバーリングするか、厳格な基準を満たした、より良いものを作るため協力体制をとっています。
KOMORIの技術がお客様の要望、つまり市場ニーズに呼応しながら進化してきたことを思えば、我々は今後も市場の要求に応え続けていかなければ今のポジションは約束されません。印刷機械の市場ニーズの流れは大きく二つあると思います。一つは「多品種小ロット短納期」。印刷物の個別パーソナル化が進み大量の印刷物を出す仕事は減っています。印刷現場では一つの仕事の本生産をする時間より、一つの仕事が終わって、次の仕事を本生産するまでの時間の方が多くなっている現状です。その準備時間の短縮とコストに直結する損紙の低減をより追求していく必要があると思います。もう一つは「オートメーション化」。今後労働人口が減少し、オペレーションの人財確保が難しくなります。KOMORIはリーディングカンパニーとして、先駆けて工程が少なく誰でも使えるデジタル印刷機械を市場導入し、市場にあった新たなビジネスモデルを提案しています。
韓国でも、最低賃金の引き上げなどの政策から人件費が高騰しており、生産性アップの要求が非常に強まっています。国内も海外も時代の変化が激しい状況の中で、KOMORIが印刷機械の市場でリーディングカンパニーとしての存在感を示していくには、今お客様が困っていることに対応するのはもちろんなのですが、お客様が気づいていない課題や、これからの社会問題に伴う印刷業界の課題にも注視して、製品開発、技術開発、サービス向上に主導的に取り組むことが大切だと感じます。
開発としては、モノづくりに一切妥協せず、多様なニーズに応える新製品を、早期に立ち上げられるように努めていきたいです。KOMORIは、設計、組立、技術、購買などあらゆる部門が連携し、一丸となってモノづくりを追求します。社内には様々な技術分野のプロフェッショナルが数多くいて、知恵を出し合うことで難しい課題を乗り越えてきた経験もあります。印刷機械の市場動向は厳しさを増していくかもしれませんが、技術の進化を加速させて、市場に新しい価値を提案できると良いですね。
これだけニーズが多様化し、まためまぐるしく変わっていく状況ですから、我々開発部門は、これまで以上に開発の速度が求められると思います。新しい技術や製品をよりスピーディーに生み出していくために、設計開発の現場と生産の現場の連携をいっそう強化し、「新技術のトライ&エラー」を迅速に行える環境を作ること。すべては、お客様にとって価値の高い製品を提供するために、力を合わせて頑張っていきたいですね。*アウトサイドユーザー:KOMORIの印刷機械を導入したことがない印刷会社。
※記事内容および社員の所属は取材当時のものです。